ガラスフロートと老人

マウイ島は空から見るとグラマラスな女性の上半身に見える。その

　首の後ろのあたりにカフルイの町がある。カーディラー店やファスト

フード店の並ぶ３２号線を西へ走ると次第に道は細くなりワイルクと

いう小さな町に着く。

時代を感じさせる建物が並ぶこの町には日系人も多く住んでおり、有

名な「Takamiya Market」（ここのテリヤキＢＢＱソースはお勧め）な

どの日本名の看板をよく目にする。老舗のアロハショップ「ギルバーツ」

も日系人のおばあさんが出てきてくれる。

そんなワイルクの町のオックステールが有名なレストラン。と、言って

も日本で言う大衆食堂だ。店内にはグラスフロート（ガラスの浮き）や

骨董品が無秩序におかれている。そのグラスフロートの話をコットンパ

ンツにアロハシャツを着た日系二世の老人がショウチュウを飲みながら

してくれた。

ボーリングのボールの大きさぐらいのグラスフロートは日本から太平

洋を渡って流れ着いた物らしい。昔、これらの日本から流れ着くグラス

フロートを収集するのがカリフォルニアなんかで流行ったことがあるら

しい。でもマウイのビーチにたどり着くことはほとんどない。今のよう

に日本の情報が入らなかった時代、それを見つけたときは日本から手紙

が来たようにうれしかったそうだ。

老人は酔いが回ったのか、居眠りを始めた。